コラム

脂肪による乳房再建とは? 乳がん手術後の広がる選択肢

乳がん手術後の乳房再建に自己脂肪を活用した方法が年々注目を集めています。脂肪を活用した乳房再建手術とは?
このコラムでは、一般的な乳房再建法との違いや治療法をご紹介していきます。

年々注目される脂肪を活用した乳房再建手術

年々注目される脂肪を活用した乳房再建手術

乳がん手術を行った女性の“QOL(生活の質)”向上のために生まれた乳房再建手術。今、新しい乳房再建の方法として、乳がん治療や乳房再建手術に関わるドクターたちに注目されているのが “自己脂肪の活用”です。 2016年、THE CLINIC の大橋ドクターが脂肪注入豊胸に関する発表を行った「日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会(乳がんの根治と乳房の整容性を両立させることが目的)」。この学会でも、脂肪に関する発表が前年に比べ、確実に増加しているようです。
今年に入って急速に注目を集めている脂肪を活用した乳房再建手術ですが、THE CLINIC では、この脂肪注入による乳房再建手術を2015年から本格的に始動し、症例を重ねています。

自家組織とシリコンインプラントのみだった選択肢

自家組織とシリコンインプラントのみだった選択肢

まず、これまでの乳房再建手術の歴史を見てみると、数年前まで主流だった方法は、腹部や背中の自家組織を移植する(筋皮弁法)手術でした。
この自家組織による乳房再建手術は、従来から保険適用となっていましたが、2週間程度の入院が必要なことや、腹部や背中に15㎝〜40㎝程の傷痕が残るなど、身体的な負担が大きいことから手術に踏み切れない人も少なくありませんでした。
その後、2013年からティッシュ・エキスパンダー(組織拡張器)とシリコンインプラント(人工乳房)による乳房再建手術が保険適用になった事で、インプラントを希望する人が増加。この方法は、乳がん手術の傷に沿って切開するため、新たな場所に傷をつくる必要がなく、身体への負担が少ないのです。
しかし、シリコンインプラントはあくまで人工物。脂肪でできた本物のバストのような柔らかさがないことや、冷たさを感じるなどの不自然さが否めません。さらには、劣化の問題から10年ほどで入れ替え手術が必要な点や、カプセル拘縮などの人工物特有のトラブルなども問題視されているのです。

脂肪による乳房再建が更なるQOL向上に

これらのデメリットを払拭し、更なるQOL向上に繋がるとして注目されている方法が、脂肪注入による乳房再建手術です。
以前はボリュームの維持率が低いことや、脂肪壊死やしこりのリスクから、乳房再建に有効ではないと考えられていた脂肪。しかしその後、加工技術が進化したことで、より質の高い脂肪の生成が可能に。さらに「脂肪注入豊胸の成功のカギは“2.4mm”!? 定着の新見解とは?」でご紹介した脂肪定着に関する研究論文が発表されたことなどから、リスクの回避方法が明確になってきたのです。
脂肪注入豊胸は、太ももやお腹などから採取した脂肪を注入することでバストアップを叶えます。脂肪の採取は、わずか5㎜程度の切開で行うため目立つ傷が残ることもなく、基本的には日帰りの手術が可能。自己組織なので、拒絶反応を起こすリスクもありません。脂肪が壊死しないようにティッシュ・エキスパンダーで皮膚を伸ばしながら、数回に分けて脂肪を注入する必要がありますが、形の微調整ができるため、より自然な仕上がりになることが何よりの魅力と言えるでしょう。

脂肪による乳房再建が更なるQOL向上に

THE CLINIC の脂肪を活用した乳房再建手術

THE CLINIC の脂肪を活用した乳房再建手術

THE CLINIC では、これまで脂肪注入による豊胸手術を2600症例(2016年11月現在)以上行い、安全な脂肪注入のノウハウを確立。乳房再建分野においても、そういった技術や実際の症例について学会発表を行うなどの取り組みを行ってきました。そして現在は、冒頭でも触れたように、他の医療機関に先駆けて、脂肪注入をメインとした乳房再建を行っています。
実際の治療では、症状に合わせてベストな方法を選択します。主に行うのは、ティッシュ・エキスパンダーや、陰圧をかけることで皮膚の伸展と血流増加を助けるBRAVA(ブラバ)で組織を拡張しながら、複数回に分けて脂肪を注入する方法です。注入素材は、良質な自己脂肪であるコンデンスリッチファット(CRF)のみを使用。すでにシリコンインプラントが挿入されている場合は、抜去(摘出)後にコンデンスリッチファットに置き換えることで、見た目と触感をより自然なバストに仕上げます。
また、放射線治療の影響で硬くなった組織では注入した脂肪が定着しにくいため、乳房再建手術前に脂肪に含まれる幹細胞の作用を利用し、皮膚組織を肥沃化させるのもTHE CLINIC ならではの工夫です。バストの形を整えた後は、ご希望に合わせて乳輪や乳頭の再建も行っています。
そして乳房再建手術では、より安全に治療を進め、患者さんにも安心していただくことが大切。乳がん治療の主治医と連携しながら乳房再建手術を行うことを徹底しています。

脂肪注入豊胸のノウハウを乳房再建手術に

脂肪注入豊胸のノウハウを乳房再建手術に

このような脂肪注入による乳房再建に着目するドクターが増えているにも関わらず、実際に手術を行っている病院がまだまだ少ないのは、脂肪採取や注入の経験が壁になっているようです。
THE CLINIC は、そういったドクターを対象に技術セミナーを実施。そのセミナーの指導医でもある大橋ドクターによると、乳房再建手術に脂肪を使いたい大学病院・総合病院のドクターの参加が増えているそう。そこからも乳房再建に関わるドクターたちが、脂肪を使った乳房再建に高い関心を持ち始めていることが感じ取れるのではないでしょうか。
THE CLINIC は脂肪採取と脂肪注入の指導機関として、さらにこのノウハウを広く普及させ、乳がん手術を行った女性のQOL向上に貢献していきたいと考えています。

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何かを補うための詰め物や充填剤。美容外科では注入素材を指して呼ぶことが多い。

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ヒアルロン酸を加水分解する酵素。